注意喚起:プレミアム優待倶楽部の罠
下記も参考で
株主番号の固定方法
個人投資家にとってはとても惹かれるものですが、バランスを考えないと危ないです。単に何が何でも優待を取得することが目的ではなく「廉価に優待を取得する」ことが目的だからです。トータルで得をすることは世間一般でイメージされるほどには甘くないし、楽でもないと思います。色々と書いてますが、クロス取引(後述)は結構に面倒です(慣れるとだいぶ楽ですが)。
・長期保有
一番単純な形となります。長期の期待で株価が上がりそうな銘柄、配当&優待も含めて長期保有でお得な銘柄であればコレでOK。
自分の場合、現在10銘柄程度ですがコレで保有(放置)してます。
・短期保有
優待取得のみを狙ったもので、クロス取引(売りと買い)を2回します。詳細は後記にて。
結論として、世間で流行っているほどにはお得?かは疑問です。短期保有のクロス取引での優待取りは結構にめんどうです。「特定銘柄を買うわけでもない余裕資金」で株取引の練習をするとか、余った時間を有効利用するお遊びに近いかなと考えてます。
最後のほうに記してますが、過去に頑張った例として、余裕資金500万円で頑張って年間30万円分前後の換算メリットでした。「要した手間を時給換算、そして要した該当資金の利回り」を考えるとそれほどにはお得ではありません。
余裕資金量が多い場合(数千万円以上)はIPOの方がお得かもしれません。この辺りは「IPO or 株主優待」で。
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・証券会社別の一般信用売立銘柄数の一覧
・株主優待取りのための証券会社選び(個人的ランキング)
・株主優待の今後と新しい流れ
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・本気なら複数の証券会社の口座を準備しておく
短期のクロス取引で1つだけならSMBC日興証券が圧倒的です。自分の場合は此処で8割です。残り2割を他の証券会社で拾っていく感じです。最近は面倒なので殆どがSMBC日興証券で。一般信用(割安な無期限)の在庫が圧倒的に多いので。
そしてある程度本格的に優待取りをするならば複数の証券会社の口座を開設し、開設後に信用取引が行えるように(別途数日かかる例も有る)しておく必要があります。最後の方に記した一般売建の取り扱い銘柄数が多い証券会社がお勧めではありますが、実際には在庫が0のものが多かったり、auカブコムのように品渡(現渡)&品受(現引)が有料でコスト高というのもありますので注意が必要です。さらに「不人気」優待銘柄ではクロス取引で制度信用を使う例もあるでしょうから、制度信用のコストが安い、つまり制度信用の取引手数料が無料だったり、金利や貸株料が安い:例えばSBIネオトレード証券(旧ライブスター証券)など証券口座を準備しておくとより低コストになると思います。但し後記する制度信用は逆日歩で何度か痛い目(大損)にあっているので最近では自分は殆ど優待目的には使いません。
・優待内容のメリット
使いやすいもの、価値を感じるもので。使えない(使える場所がない:例えば該当小売店が近くにないなど)、使わない(必要性が薄い)などは意味ないので。
・取引コスト
計算が面倒な場合もありますが、優待メリット>取引コスト で。差が小さいとメリットが薄いですし、後記する逆日歩によってはマイナスになることもあります。後で細かく項目を記します。自分の感覚でざっくりですが、取引コストとしてMAXで該当銘柄の優待株数x株価の2%未満です。例外もありますが2%以上になると失敗もしくは失敗に近い例です。通常は1%未満を狙う感じで。
・余裕資金量
クロス取引(つなぎ売り)の場合、ざっくり言うと該当銘柄の優待株数x株価の1.5倍弱前後が必要となります。実際にはもうちょっと少なくてもOKですが、株価変動や委託保証金の率もあるのでこのぐらいの準備が必要です。また少額の取引であっても信用買いの場合は委託保証金が証券会社によって最低30万円などの例が多いのでご注意ください。特に優待銘柄の多い3月、9月などには資金量によって候補銘柄を絞る、利用する証券会社を絞る必要もあるかと思います。出金には数日かかりますので「余裕」資金の中でやる必要があります。
・取引リスク
制度信用を使ったクロス取引(つなぎ売り)では逆日歩のコストが問題となります。それなりのリスクがあります。
逆日歩にかんしてはこちら
・保有リスク(株価下落)
長期保有(クロス取引を行わない)では、普通?の株式取引と同様に株価予測がとても大事です。株価が下がりっぱなしになると優待を遥かに上回る含み損が発生します。なお、権利落ち日(権利付き確定日の翌営業日)には理論的には配当利回り分だけ下落します。
なお、この記事では中長期保有に関しては殆ど触れず、クロス取引(つなぎ売り)をメインとして記してます。
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優待獲得の流れ
・権利確定と権利落ち日の日程確認
例えばとある銘柄で2020年8月31日が「権利確定日」の場合、株主名義変更は2営業日遅れになります。この場合には土日をまたぐので「権利付最終日」は8月27日となります。この8月27日の後場終了後に「8月31日の株主の名義が確定」となります。そしてその翌日の8月28日が「権利落ち日」となって該当銘柄を売ってOKな日となります。
なので、土日や祝日を挟むと大きくズレます。日付間違えると悲惨です。複数ソースで確認を。
(滅多にありませんが、過去に間違っている日付が掲載されていた例もありましたので)
なお、「権利付け最終日」と「権利落ち日」で土日祝をまたいだ場合、金利、貸株料、品貸料(逆日歩)はその分だけ余計にかかりますのでご注意を。
・株主優待銘柄を確認
GMOクリック証券の株主優待(カレンダー)
GMOクリック証券の株主優待検索
マネックス証券の株主優待(カレンダー)
マネックス証券の株主優待検索
楽天証券の株主優待検索
楽天証券トウシルの 最新!株主優待NEWS
auカブコムの株主優待
#検索等は要ログイン
・株主優待に変更がないか?を該当銘柄会社の公式ページで確認
->直前になって優待廃止、優待条件や内容変更(継続保有が条件になるなど)が結構あります。
->非公式ページ記載の内容が古い場合もあります。
->直前でなくとも1か月程度前には確認を(会社のIRなどで)
・該当銘柄の取引手段
・一般信用の売建銘柄(証券会社によって異なる)であるか?の有無と在庫量、
・制度信用(貸借銘柄)の有無と逆日歩の状況?
・両方NGで売建てが不可能な銘柄(長期保有前提?)か?
ざっくり言うと取引手段で下記となります。
一般信用売建て利用の場合:低リスク・高コスト
-> ほぼリスク無しも、証券会社、銘柄、在庫にかなり左右される
制度信用売建て利用の場合:中リスク・中コスト
-> 逆日歩の読みが重要
売建て利用無し:高リスク・低コスト
-> 該当銘柄の株価の動向が重要
銘柄選択とも重なりますが、各種リスクの読みはとても難しいので多少高コストであっても一般信用売建が可能な銘柄から選ぶことが多くなると思います。一部の不人気銘柄は制度信用での取引を行うこともあります。売立て利用無しでは長期保有を前提とした銘柄で選びますが一番難しかったり。
・各種手数料の大まかなコストの把握
候補銘柄と株価によって各証券会社の現物と信用の手数料コースや金利や貸株料(制度信用、一般信用)、日数などの確認です。
株価と銘柄(取引手法)によって最適な証券会社(と取引コースや制度信用 or 一般信用)が異なります。余裕資金量(資金移動の入出金:特に出金は日数がかかる)と信用取引の余力都合と手間暇を考えてで少額のコスト差は諦めて同じ証券会社を使う場合もあります。
優待メリットを越えないように。
・最終的な銘柄候補の優先順位付けとスケジュール
候補銘柄の優先(取引)順位などを事前に決めておきます。余裕資金量が少ない場合は必要に応じて対象銘柄を絞り込んでいきます。
スケジュールは取引方法によって異なります。
一般信用売建ての場合:
各証券会社の在庫を睨みつつ、人気銘柄の場合は早めに発注
->一般長期(無期限)であれば余裕をもって、一般短期(15日が多い)では売立て開始日に合わせてなど
->在庫に余裕があれば貸株料を廉価に済ますために、在庫量を睨みつつ後日にするなど
制度信用で売建てを行う場合:
権利付最終日前日後場終了後、当日前場開始前に、貸借情報を日証金のこちらで睨みつつ
->逆日歩でコスト割れしないように・・・危ないなら諦めましょう。
売立て無しの場合:
安いと思った日で。但し人気優待銘柄は権利付け最終日の直前には上がる事が多い(損)ので、長期計画で。
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クロス取引(つなぎ売り):
下記の(A)と(B)のどちら?というのは株価、証券会社(と手数料コース選択)によって異なるのですが、昨今の信用取引手数料の低廉化にともない(B)のパターンが低コストというのが増えてきていると思います。
(A)簡単なパターン:
(A-1)権利付最終日(含む)までに信用売り・現物買いを行う。
約定価格をなるべくぴったり合わせるために両方を「寄成」や「引成」で発注する。
->2回の取引
(A-2)権利落日に信用売の決済を予め買って置いた現物の「現渡(品渡)」で行う。
->1回の取引
合計3回の取引
(B)どちらも信用から始めるパターン:
(B-1)権利付最終日(含む)までに信用売・信用買を行う。
約定価格を合わせるために両方を「寄成」や「引成」で発注する。
そして当日速やかに「信用買」の決済を「現引(品受)->現物に変換」で行う。
# 権利付け最終日の当日の後場の引成りでは「現引(品受)->現物に変換」は間に合いません
->3回の取引
(B-2)権利落日に信用売の決済を予め買って置いた現物の「現渡(品渡)」で行う。
(B)は現物取引よりも信用取引のほうがトータルコスト(1日の金利を払っても)で安い場合(多くの証券会社)に使う方法。
現引(品引)・現渡(品渡)手数料は殆どの証券会社で無料(例外有り:要確認)。
#auカブコム証券は信用取引無料化に伴い、例外的に現引(品引)・現渡(品渡)手数料が有料へ。
->1回の取引
合計4回の取引
(C)異なった証券会社で行うパターン:(殆ど無い例)
売りと買いで異なった証券会社での取引でも寄り成りや引き成りを使うとほぼ「同額」の約定価格で決済できます。例えば信用売建ては〇〇証券で、信用買建(&現引)もしくは現物買いは△△証券でという形です。場合によってはこの方法も「有り」かもしれません。
但し、同じ証券会社であれば権利落ち日の決済に「現渡(品渡)」で取引手数料が無料(例外はauカブコムなど)となるのに対し、異なった証券会社ですと反対売買を行う取引手数料のコストが発生します。このコストの問題もあり、実際には(C)を行う事は非常に稀だと思いますが、こういった方法も有るよって事で。
なお、ほぼ「同額」で決済する筈ですが、例外があるとすれば該当銘柄があまりにも偏った注文があった場合に、どちらか片方が先に約定してもう片方の約定が遅れてしまい、結果として「価格差」が出るといった可能性があります。しかしこの可能性は同一の証券会社でほぼ同じタイミングで「寄成」などで発注しても市場を通して発注することに変わりは有りませんから同様に起こりうるリスクです。同一の証券会社でのほぼ同じタイミングでの発注のほうがやや起きにくいだろうとは言えますが。。。。。
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・制度信用は逆日歩というリスク
制度信用買い:融資という形で金利が発生
制度信用売り:貸株という形で貸株料が発生、貸株が足りない場合は逆日歩(品貸料)が発生
制度信用とは
日証金という証券金融会社を経由した信用取引です。殆どの証券会社「でも」対応するのは制度信用。制度信用で売建も出来る銘柄を「貸借銘柄」と言う。貸借銘柄であっても貸株に余裕が無い場合は日証金が取引規制を行って「規制銘柄」となる。また規制銘柄になる前に「注意喚起」銘柄となる場合も多い。買建ては殆どの銘柄で出来る。逆日歩(品貸料)に関してはこちら
->逆日歩がつかなければ一般信用(後述)よりも多くのケース(貸株料、金利)で低コスト
->株主優待の人気銘柄は逆日歩が付く確率がかなり高い
->株主優待の人気銘柄(もしくは異様な値動きをした銘柄)は逆日歩が巨額(大損)になるケースもある
->調子に乗って某銘柄で逆日歩で大損経験あり(他の優待の儲けを全部ぶっ飛ばすぐらい)
->貸借情報は日証金のこちらで確認
・一般信用はリスクは低いが高コスト&機会損失になりがち
一般信用とは
日証金を使わずに証券会社が自前で行う信用取引。多くの証券会社では一般信用の「買建て(融資)」は対応しているが、一般信用の「売り建て(貸株)」は一部の証券会社でかつ一部の銘柄のみ。優待クロス取りしやすい証券会社とは、一般信用で多くの銘柄で売建で可能だったり用意している貸株が多い所と言える。制度信用の貸借銘柄であっても一般信用では「売り」不可のケースがとても多い。一般信用は買建は無期限(制度信用の場合は期限6か月)が殆どで、売建ては短期(15日など)と無期限(長期)がある。人気優待銘柄は短期が殆どで、例外はSMBC日興証券と松井証券でこちらは無期限(長期)しかない。マネックス証券などは売建銘柄として銘柄数が多いだけで時節が外れてても実在庫がずっと0のケースも多いので要注意。
->逆日歩(品貸料)が発生しない為にあらかじめコストが解る
->殆どのケースでコスト(特に貸株料)は制度信用を利用するよりも高い
->株主優待の人気銘柄は在庫数がすぐに無くなることが多い(取引機会損失)
->貸株料の日数を節約しようとギリギリまで待つと在庫切れになるケース多々
->早めに売建てすると貸株料が増えて高コストになる。
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その昔、リーマンショック直後の1年間ほど活発にやった自分なりの感想
クロス取引で株主優待用に資金を500万円前後用意し、ガンガンとお得な単位(大体は単元単位株)でクロス取引(後述)しました。ざっくりと1年間で獲得優待の換算金額はざっくりと30万円分ぐらいかなという感じでした。なお、3月末や9月末などは集中するので500万円では不足しますのでその場合はコストメリット優先で。手間は大変で下手すると初年度は時給1,000円換算下回るかも?ですが、慣れるとだいぶ手間(時間)は減ります。狙う優待銘柄もだんだんと覚えますし、手順も流れ作業のように覚えていきますので。
1年通してやってみると色々と株式投資(特にクロス取引)の勉強になります。初心者の方は半分勉強のつもりでやるのもお勧めです。但し巨額な逆日歩発生、手数料などでのコスト割れに注意です。
正直言うと、株主優待のクロス取引(つなぎ売り)で手間をかけてゴチャゴチャやるよりも、その500万円なりの資金を高配当かつ値下がりしにくい銘柄をそのまま長期保有していたほうが手間もかからずにそこそこ配当が貰えて優待取り以上の儲けになったりで面倒は少ないかと思います。なのでクロス取引(つなぎ売り)の優待取りは実利もありますが細かな手間もソコソコ必要なので余裕資金での半分遊びに近い感覚になります。
時期的にリーマンショックなど暴落後は今から振り返るとお得で沢山の銘柄を長期保有しましたが、数年保有後に値上がりした段階で売ってしまったものが殆どです。現在は数銘柄のみです。またその時にGMOグループ系も優待目的(クリック証券を使うことが多かったので)で多くを単元株で長期所有しておりましたが、2020年6月末のGMO祭り(グループ全体が暴騰)で30万円前後の投資が優に100万円を越えた利益となり、利確してしまいました。
株主優待取りは、通常の株取引で譲渡益が多く出た(出る)年にやることでもメリットがあります。ちゃんと確定申告をすれば税務上で優待取得での取引コスト分が相殺されて節税になりますので。